交通電業社「OS-7102」その4

ところが方向幕の動作原理(指令方式)は「同期進段式」という方式を採用しているようで、基準となる幕のコマから、単に上下に何コマ進むか、という制御だけを行っているものと言われています。
 
つまり、操作盤のデジタル面には車体の現示コマの数字は表示されますが、それは基準となるコマ(例えば0コマ目)からどれだけコマ位置が進んでいるのかを表示しているに過ぎず、コマの具体的な数値情報は認識していませんので、何かの拍子にコマがズレると、ズレたまま指定のコマの数だけ進んでしまうのです。

コマズレが起こる原因は、コマ位置の目印となる幕の隅に印刷された黒い小さな四角形を、1個のフォトスイッチで検知する機構に由来する部分が大きく、幕やフォトスイッチが汚れ等で四角形を判別できなくなると、コマがコマとして認識されず、位置ズレが発生することになります。

詳しい作動原理等は他サイトに譲りますが、従来山口市営が採用してきたパルスコード式の三陽製方向幕では、機器がコマ位置を幕に印刷されたバーコードで認識する方式でしたので、その意味では機構的に退化といえるでしょう。

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■制御盤の「SR-7253AS」。操作盤と方向幕本体の間に入り、実際の制御を行う。

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■配線は、操作盤からの入力線が1本と、前横後の3か所の方向幕本体に対する出力線が3本。
 他にアース線のような黒色の単線が1本出ているが、これは結線しないでも動作可能だった。

で、さらに観察していますと、車載機器にはよく見られる「バッテリー電源」のような入力線が見当たらないことに気づきます。
アクセサリー電源はあるようですが、これでは車両がスイッチを切って再度始動するとき、幕の位置をメモリーしないのではないかと思われました。