交通電業社「OS-7102」その1

「方向幕」といえば、路線バスの独特かつ必須の装備として、その機構や役割も含めて、子供から大人まで興味を覚える稀有な装備品のように思います。
私の幼い頃も同様で、路線バスに乗車中、終着点または終着点が近くなると、運転手がスイッチやらハンドルやらを操作して、幕をクルクルと変える姿がとても印象的でした。

当時の山口市営における幕の操作とは、子供の目線で見たところ、電動式の場合は、緑と赤の丸いボタンで作動し、ボタンを押している間か、ボタンを押し回して固定している間に幕が動く、というシンプルなものでした。
あまりにもシンプルな動作のため、自分でも「触れてみたい!」「動かしてみたい!」という強い衝動に駆られたものです。

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■当時のモノコック車全般に採用された、三陽製の電動方向幕操作盤。廃車後の「う1043号」のもの。
 
この方向幕では、常に幕の位置を確認しながら操作を行う必要があり、場合によっては幕の位置を見逃し、行き過ぎた幕を元に戻す作業も必要となるなど、運転中に操作するのは意外と難しいものでした。
 
その後、中型の路線バスに乗車すると、今度は何やら数字を選択し、起動ボタンを押すだけで自動的に幕を操作出来る装置の存在に気づきます。
子供心にしても、それは画期的な装備に見えたものです。

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■80年代の中型車に採用された、三陽製のパルスコード式電動方向幕操作盤。奄美交通370号(旧う1638号)。

このパルスコード式では、運転中でも操作が簡単なため、運行環境が大きく改善されたと思われます。

こうして方向幕の操作について一定の知識が得られた頃、「第三の操作盤」が出現したのです。
それが、今回のテーマ、交通電業社製のOS-7102型なのでした。