交通電業社「OS-7102」その8

僅か電池を一つ交換しただけでのこの事態は全くの想定外でしたが、翌日、仮説を幾つか立てて状況を検証してみました。

先ず、電池を再び取り外して、再度幕装置と繋いでみます。
するとデジタルは「00」を表示。
通常通り操作すると、幕の進段方向は相変わらず逆でしたが、今度は電源を切ってもメモリーが消えないようになりました。
電池が無いのにメモリーを失わないのはまたも意外でしたが、回路を確認すると、どうやら電池の線とは平行して電解コンデンサにも電源は入っているようなので、恐らくこちらが短時間は電池の役割を補うように思えます。
この後、半日でもメモリーは消えませんでしたが、さらに5日間が経過した時には既に消えていました。

こうした経過から推測すると、電池を取り付けた際に「99」が表示されたのは、操作盤内に全く電気やメモリーが無い状態で電気を通したので、信号にエラーが起き、結果的に「99」を指したのではないかと思いました。

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■電池を再び撤去。動作確認すると、メモリー機能はむしろ回復した(数時間のみ?)。

つまり、操作盤には予め電気を軽く通しておいて、「00」を電解コンデンサで記憶させた後に電池を取り付けてやれば、正常に「00」からメモリーを始めるのではないか、という結論に達しました。

一方の幕装置は、正転と反転が逆になる現象は、操作盤の信号が逆に出ているものと思いましたが、10コマ目付近でゆっくり停止した後、急激な逆回転が起きる現象は説明がつきません。
こちらは結構悩みに悩みましたが、色々と検索していると、それらしき原因に気づきました。

それは、上軸の巻き取り方向。

交通電業社の方向幕では(他社製も同様かも知れませんが)、上軸の巻き取り方向は、幅方向からの断面でみると、幕が一度直前にあるローラーを経由するため、軸の下側の点から幕を巻き込む(又は送り出す)仕様になっています。
(※下軸は、軸の下側の点から幕を巻き取り・送り出し)

ところがこの時の私の装置では、上軸は、軸の上側から幕を巻き込む(又は送り出す)ようになっていたのです。

つまりこの装置が本来想定している動きとは逆のことをやっていた訳で、操作盤では幕を上軸から送り出して減算方向に幕を動かしているつもりが、実際の幕装置では、逆に幕を巻き取って加算してしまっていたことになります。

上軸が幕を巻き取り、下軸も巻き取り続けた結果、両軸は遂に幕の張力で釣り合ってしまい、動作が停止。
電源を落とすとモーターの圧力が抜け、ギアがフリーになった瞬間、下軸に内蔵する高圧バネの勢いで幕が逆走し、バネの反発力が失われる付近で自然と動作が止まった、というのが真相のようです。

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■正常時の減算は、上軸が時計方向に回転して幕を送り出し、下軸が反時計方向に回転して幕を巻き込む。
 しかし異常時は、上軸が時計方向に回転すると逆に幕を巻き込み、下軸も幕を巻き込むため、結果的に幕を「綱引き」している状態となり、停止してしまう。


そして、この上軸の巻き取り方法が変わってしまった直接の原因とは、最初に「修正」を押して幕が減算方向に進み、0コマ以下の白地にまで暴走した際、混乱した私が気づかないうちに幕は巻き取り点まで到達してしまい、さらに動作が続いたことで、巻き取り点が軸の上側に移ってしまったことによる、と結論付けました。

原因が判ってしまえば重大な故障でも何でもないことでしたが、文系素人にとって、この結論を得るまでには結構大変でした。